Episode 2 自己組織化する? 宗教と宇宙はチーズと同じようなもの
あらすじ
Yogaをお伝えしているHashizume Rimi先生と、人工生命を研究しているNagasaka Fumioが「ロボットに心が生まれるのか?」という問題に向かって、Yogaと人工知能の関係をひもときながら、謎の迷宮を探検します。全12話のポッドキャストで、最終話では驚きの結末が待っています。
今回でやっと第3話になるエピソード「2」。「自己組織化」という不思議な現象のことを易しく話します。場所は相変わらずの松本市・県の森にある県の森文化会館。いいところなのですが、隣の教室では信州大学や地元高校の吹奏楽のメンバーが三々五々集まってパート練習の真っ最中。BGMの心配がいらないくらいに背景に音が入っています。
さて今回も、前回のレイ・ブラッドベリの「ボクの地下室においで」の続きをしゃべっている2人ですが、一休みして、自己組織化という難しい話に移ります。カフェオレや、インクを一滴垂らして色が付いた水は、もう元に戻せませんよね。でも、豆乳はニガリを加えてかき回してお豆腐にすれば、水に溶け込んでいた大豆たんぱく質を回収して固形物に戻せるじゃないですか?この、戻せるヤツと、戻せないヤツの違いはどこから来るのでしょうね?
そこで起こっている不思議な現象は、実は、宇宙とか、人間社会とか・・・全く別の次元でも起きていることかもしれません。
続きはポッドキャストでお聞きください。または、上の音声データをダウンロードして直接聞くこともできます。
著作権の表記
使用した音楽素材の著作権
BGM:hitoshi by Senses Circuit, https://www.senses-circuit.com から以下の4曲を使用しています
オープニング曲: HAPPY LUNCH!(ジャズ・ボサノヴァ) by ambience
エンディング曲:おひさま-ピアノ・優しい・希望 by ambience
ジングル:透明感のあるピアノのジングル・アイキャッチ by ambience
冒頭部分
NHKで放送している「ダーウィンが来た」第618話のリンク
北米大陸に30-50億羽もいたのかもしれない「アメリカ旅行バト」は大きな図書館などにある次の本から参考にさせていただきました。
今泉忠明 (2000), 「絶滅動物誌 人が滅した動物たち」, 講談社
サバクトビバッタについても触れておきます。国連食糧機関 (FAO, Food and Agriculture Organization of the United Nations) が運営するサバクトビバッタ (英名:Desert Locust) の監視サイトがあります。
http://www.fao.org/ag/locusts/en/info/info/index.html
ここには例えば、次のような1行が見られます。
>Some of the swarms may threaten agriculture areas in the Indus Valley of Pakistan.
直訳ですが「いくつかの群れはパキスタンのインダス渓谷の農業地域に脅威となるかもしれません」と言っています。
こういう監視サイトが運営されているくらい、サバクトビバッタは現在も大量発生する昆虫なのですね。しかしボッドキャストの本編でお話している通り、彼らが創発によって社会性を帯びて巣を作るとか、コロニーを作るようなことは起きていません。社会性のあるハチやアリとは、どこかしら違う部分があるようです。
自己組織化の説明のパート
Rimiさんがいきなりライプニッツのような発想で話を始めて、とってもびっくりしました。素敵なセンスですね。ライプニッツは全ての物質の根源となる微粒子の「モナド」には「エンテレケイヤ」という性質が備わっていると述べています。これが集約されることで、心や魂を生み出すのであるという説明です。
ゴットフリート・ウィリアム・ライプニッツ, 「モナドロジー」清水富雄・竹田篤司・飯塚勝久 訳, 中公クラシックス (2005)
スチュアート・カウフマン, 「自己組織化と進化の理論」米沢富美子 訳, ちくま学芸文庫 (2008)