「5F」分析ってどんな分析ですか?
5F分析とは、売り手(サプライヤー)の交渉力、買い手の交渉力、同業者の競争力、新規参入の脅威、代替品の脅威という5つの力 (Forces) を分析する手法です。市場のダイナミズムを捉えて、どんどん変わって行くべき力関係を見ているシートです。このため1回作ってもたびたび見直して更新していないと、現実から離れて行きます。
売り手の交渉力
売り手(サプライヤー)が値付けや取引条件をどの程度まで優勢に持ちかけて来るかを分析して書きます。
伝統的な産業でのサプライヤーといえば、例えば製造業にとっての原材料や部品供給者が当てはまります。一方で、例えばITサービスにもサプライヤーはいます。検索エンジンに対してニュースを提供する新聞や通信社はサプライヤーです。スマートコントラクトのおかげで、フリーランスのジャーナリストでも高い値付けで記事を売る交渉力を手にすることができます。
買い手の交渉力
買い手にはチャネルも含まれます。大量買付けのできる大手総合スーパーは交渉力が強いと言われます。支払いの期間が長い/短いという条件も買い手の交渉力で決まります。
最近の革命の一つに「エンベデッドファイナンス」があります。銀行業ではない一般の小売の会社でもBNPL(Buy Now, Pay Later)という考え方に参入し始めていて、囲い込みできる顧客には有利な価格を提示するという交渉のスタイルもあります。
新規参入の脅威
自分たちが想像していなかった外側の市場から参入して来るプレーヤーの競争力を分析して書きます。
事例としては、電気自動車が普及すれば、ガソリンスタンドの競争者が充電スタンドを備えた大手スーパーになるという例などがあります。
同業者の競争力
文字通り同一の業態の他のプレーヤーの競争力について書きます。
現代社会では同業者の定義が非常にあいまいになったために、自己都合で「業界」を狭くとらえるのはリスクがあります。レンタカーとライドシェアのUberなどは顧客の視点からはざっくり同じ業界に見えているかもしれません。
代替品の脅威
古くからの考えでは、例えば、紙の書籍の代替品が電子書籍であるなどの機能的代替のことです。しかし、消費者の方が常に事業者よりも頭が柔らかいので、ありとあらゆる方法で代替を見つけてしまいます。
この項目で見落としがちなのは「無しで済ます」という「ゼロ」も代替品であるということです。また、プロジェクターに対しての大型液晶ディスプレイのように一定範囲までは代替できるというものがあります。